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イベント報告

Event Report

 

岩の力学 News No.060


「第21回 西日本岩盤工学シンポジウム―熊本’00―」

 

産業技術総合研究所 竹原 孝


 例年開催されている西日本岩盤工学シンポジウムは、西日本での福岡地区、熊本地区、山口地区の資源関連学科を持つ3大学(九州大学、熊本大学、山口大学)の学生に研究発表・討論および交流の場を提供することを目的とし、岩石・岩盤を研究対象とした若手メンバーを中心に1980年に発足したと聞いている。現在では名称を改称しつつ西日本岩盤工学研究会として今日に至っている。また、発足時の経緯から本研究会の運営事務は3大学の持ち回りで続けられている。本シンポジウムは開催年数を重ねる度に開催規模も大きくなり参加人数も増え、1994年からは初心に戻るということから一般のセッションとは別に学生のみのセッションを設け、大学院生を主体としたセッションの運営なども行なったこともあり、学生に貴重な体験を提供する場としての役割も担っている。1996年には韓国ソウル大学での開催を始めとして、3年毎に韓国との合同シンポジウムとしても発展してきている。一昨年の20周年記念では、「’99 Japan-Korea Joint Symposium on Rock Engineering −The 20th Anniversary Celebration of the West Japan Rock Engineering Society−」として福岡で第2回の合同シンポジウムとして開催された(詳細は、岩の力学ニュースNo.54を参照下さい)。
 前置きが長くなったが、今回の第21回西日本岩盤工学シンポジウムは、西日本岩盤工学研究会の主催、資源・素材学会岩盤工学部門委員会、資源・素材学会九州支部、土木学会西部支部の共催のもと、岩の力学連合会、地盤工学会九州支部、日本応用地質学会九州支部、日本材料学会岩石力学部門委員会の後援を受けて2000年7月14日(金)、15日(土)の2日間にわたって火の国ハイツ(熊本)で開催された。今回のシンポジウムは岩盤工学をベースに多方面にわたる特別講演、研究発表から構成されており、研究者の情報交換と親睦を目的として参加者の交流をより深めようという趣旨から、シンポジウムと同じ会場で懇親会と宿泊を行うという例年通りのスタイルを取っていた。今回の参加者は、北は北海道から南は琉球大学まで日本全国から104名の参加があった。
 第1日目はオープニングセッション(熊大 菅原教授)から始まり、2件の特別講演および本シンポジウムでは初の試みとしてパネルディスカッションが開催された。

 

特別講演

 「高レベル廃棄物処分における岩盤力学の課題」
    講師:堀井 秀幸(東京大学)

 「最近の大断面トンネルの施工技術 −第二東名・名神高速道路−」
    講師:亀岡 美友(建設機械化研究所)

パネルディスカッション

テーマ : 21世紀における岩盤工学の役割

コディネーター : 菅原 勝彦 (熊本大学)

パネラー: (順不同、敬称略)
      金子 勝比古(北海道大学)
      松木 浩二 (東北大学)
      日比野 敏 (電力中央研究所)
      勝山 邦久 (資源環境技術総合研究所)
      杉原 弘造 (核燃料サイクル開発機構)
      朝倉 俊弘 (京都大学)

 

 パネラーからの話題提供として以下の講演がなされた。

 

l          ニューフロンティア、地下空間を拓く岩盤工学−地下空間利用の将来像  − 日比野 −

l          知能情報技術の革新により新たな展開を目指す岩盤工学  − 金子 −

l          地球環境を守り文化の持続的発展を可能にする岩盤工学−深部岩盤工学(地盤工学)の展開  − 松木 −

l          社会と人の活動を支え文化とともに歩む岩盤工学−ジオリアクターと採る資源開発からはぐくむ資源開発へ  − 勝山 −

l          21世紀の社会と環境に責任を持つ岩盤工学−地層処分と地圏環境の超長期予測  − 杉原 −

l          21世紀の社会と環境を守るため、可能性に挑戦する岩盤工学−保守技術の重要性、“保守から保生へ”     − 朝倉 −

 

 特別講演、パネルディスカッションでの各パネラーの講演の後、地球環境保護を見据えた岩盤工学としての役割をはじめとして、国際というキーワードやアジアの中での日本の役割、大深度地下に対する岩盤工学からの提案の見直し、国際競争力を維持するための市場原理やコストパフォーマンスの問題、解析手法の進歩および今後の課題、岩盤災害の減少に関する問題点の提起、21世紀への工学としての岩盤工学に対する戦略や社会経済的な問題など、多岐にわたって技術的な問題・学術的な問題に対する熱心な討議が行われた。このパネルディスカッションの詳細は、事務局であった熊本大学側で編纂中であり、今後、「資源と素材」の誌上で報告がなされる予定である。岩盤工学に関わる研究者・技術者の方々には、是非ご覧頂きたいと思っている。

 初日のスケジュール終了後、参加者全員による懇親会が開催された。懇親会中でも熱心な討議が繰り広げられ、深夜にまでわたって岩盤工学に関するシンポジウムが行われるという独特な雰囲気のシンポジウムであった。

 2日目は一般講演として「岩盤工学における諸問題」のテーマの元に、26件の岩盤工学に関する最近の研究発表が行われた。研究発表のサブテーマは下記のようである。

[透水試験](5件)、[地下水挙動](3件)、[室内実験・施工・管理](4件)、[地圧計測](5件)、[原位置計測・安定性評価](5件)、[動的問題・グラウチング](4件)

 研究発表の詳細は割愛させて頂くが、例年になく多岐にわたる研究発表と活発な討議が行われた。本シンポジウムの役割の重大さや研究会の今後の発展など岩盤工学に関わる関係者方々の一層の邁進と今後の活躍が期待出来る非常に有意義なシンポジウムであり、本報告としてはほぼ1年前となるが、昨日のごとく非常に印象に残るシンポジウムでもあった。

 本年度開催となる第22回西日本岩盤工学シンポジウムは、山口大学が事務局となり2001年7月6,7日に山口厚生年金休暇センター(山口県宇部市)において、主テーマ「岩盤のモニタリング技術とその評価法 〜よりよき活用に向けて〜」として開催されたことを付記しておく。

 

パネルディスカッションの風景

 


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