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1.会社概要
東京電力株式会社は、昭和26年の会杜設立以来、半世紀にわたり首都圏を主体としたお客様に電気の供給を行ってきております。
供給地域のお客様の人口はおよそ4,000万人(日本全体の3割、経済規模は180兆円(日本全体の4割)にものぼり、このようなひと、モノ、情報が集中する首都圏での電力消費量は、2,800億kWhと、日本全体の3割強に相当しております。
これらの電力需要に対応するため、水力・火力・原子力発電所建設による電源開発を進めてきました。
現在、発電所数については、188ヶ所 5,884万kW、このうち水力発電所は、160ヶ所851万kW(14%)、火力発電所は、24ヶ所3,303万kW(56%)、また、原子力発電所は、3ヶ所1,730万kW(30%)の構成になっております。
2.発電所建設を通じて当社内で、蓄積・保有してきた岩盤力学における技術開発
ここでは、当杜における岩盤力学における技術開発の変遷として、揚水発電所の地下発電所建設、原子力発電所建設を通じて蓄積、保有されてきた調査・設計技術を以下に紹介します。
(1) 地下発電所建設における技術開発
地下発電所空洞は、その断面積が1,000m2を超える大断面で、かつ、揚水発電所においては、地下深部での高地圧下での掘削となるのが特徴です。
大断面のため掘削は、空洞頂部から底部へ向けての多段階掘削となり、掘削に伴う岩盤応カ,ひずみ,ゆるみの変化が長期に及びます。
このような大規模地下空洞を安全かつ、経済的に掘削するためには、調査,設計,施工ならびに計測技術を相互的に関連付け、情報化設計施工技術として体系化することが重要であり、新高瀬川発電所以降5ヶ所の揚水発電所地下空洞建設を通じて、岩盤物性、岩盤応力の調査・計測技術などの固有技術の向上、精度高く空洞挙動を模擬できる予測角斬技術の開発に取り組んできています。
発電所空洞設計・施工を通じて開発、蓄積された主な技術を表一1に示します。
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表−1 発電所建設と技術の変遷
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発電所名
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開発、蓄積された技術
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今 市
(1988年運転開始)
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・NATM工法の概念に基づく支保設計の採用
・空洞堀削への情報化設計施行技術の導入
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塩 原
(1994年運転開始)
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・堀削時の岩盤応力、AE測定によるゆるみ領域計測の導入
・逆解析による空洞挙動予測,支保修正検討の実施
・支保設計へのキーブロック解析の適用
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葛野川
(1999年運転開始)
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・模擬空洞堀削での計測結果を用いた本体空洞設計用初期地圧、岩盤
変形特性の設定
・ひずみ軟化特性を考慮した空洞挙動予測解析手法の開発・導入,同
手法による支保効果の評価の実施
・堀削によるゆるみ領域進展抑制を意図した施行方法の採用
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神流川
(建設中)
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・AE測定,円錐孔底ひずみ測定による領域進展状況の計測
・同計測データの情報化設計施行への導入による支保の最適化
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(2) 原子力発電所建設における技術開発
原子力に関し、我が国は発電所数、発電所出力がいずれも米国、仏に次ぐ世界第3位の原子力国となっていますが、国土が狭い上に世界でも有数の地震国である日本にこれほどの原子力発電所を設置し、稼動させるためには高度な調査、設計、角斬技術が必要であり、それ故に、この分野での先進的な研究が進められてきました。
当杜の3ヶ所の原子力発電所(福島第一、福島第二、柏崎刈羽)の基礎岩盤は、堆積性の軟岩からなっています。発電所の基礎地盤は、想定されるいかなる地震力に対しても安全性が確保されることを評価する必要があり、また、このために、基礎岩盤の物理,力学特性が的確に把握されなければなりませんが、軟岩の物性評価に関する研究事例が少なく、基準となる試験方法・評価手法力確立されていませんでした。
そこで、原子力発電所基礎地盤としての軟岩の物理,力学特性の評価を目的として数々の技術開発を行い、発電所基礎地盤としての安全性を証明してきました。そのいくつかを以下に紹介します。
@軟石の強度試験手法の開発
軟岩について、地震時における地盤の強度を評価する室内試験として、当初は、UU(非圧密・非排水)条件とCU(圧密・非排水)条件での三軸試験を行いました。
UU条件の場合には、サンプリング時の応力解放の影響を受け、強度、変形係数が実地盤の値より小さめに評価されること、また、CU条件では、地震時の短期荷重の変化が考慮されないことなど、軟岩についての地震時における地盤挙動を的確に評価するために、両者の条件を満足できるような試験方法の開発が必要と考えられました。
そこで、試験を実施する前に、試料採取位置の有効土被り圧で圧密することで、サンプリングに伴う応力解放の影響を除去し、さらにUU条件で試験を行うCUU条件での三軸試験方法を開発し、地震時短期荷重における軟岩の力学特性を適切に評価できるようにしました。
Aコア物性を用いた原位置岩盤試験結果の再現
軟岩の力学特性は、間隙水圧の影響を受けること、また、拘束圧の影響も大きいことから、カ学特性の評価にあたっては、試験条件(排水条件、拘束圧レベルなど)の設定に留意する必要があります。これらの試験条件の設定は、原位置試験では対処が難しく、室内試験に頼らざるを得ないと考えられました。
この室内試験でのコア物性により原位置の軟岩のカ学特性を評価することの妥当性について、岩石試験結果を入力値としたFEM角斬で原位置岩盤試験のシミュレーションを行い、その再現性を検証することで、原位置岩盤の力学特性の評価が十分可能であることを確認しました。

神流川地下発電所地下空洞施工状況
3.今後の技術開発取り組みの方向について
電力土木設備に関する岩盤力学における技術開発は、電力需要に対応した電源開発二一ズに伴って発展してきました。
今後は、電力需要の鈍化の下、地下発電所空洞建設、原子力発電所基礎岩盤の評価に関して培ってきた技術を生かせる分野として、地層処分事業における調査、設計、安全審査業務への利用が期待されます。
また、電力設備の自主保安強化の下で、ダム、地下発電所空洞の長期的な安全評価といった保守管理面での二一ズに対しての技術力の強化も必要とされます。
これまでの建設を通じて培ってきた岩盤力学に関する一連の調査、設計、施工及び計測に関する技術開発成果並びにデータを整理・体系化し、有効な技術として転活用することで、新規事業への取り組み、社内二一ズヘの対応に生かしていきたいと考えています。
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