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1.会社概要
中部電力株式会社は昭和26年の会社設立以来、名古屋を中核とする中部圏のお客様に電気の供給を行ってきております。
中部圏は日本の「モノづくり」の拠点であり、良質の電気を安定的に供給するために、水力、火力、原子力発電所建設による電源開発、流通設備構築を進めてまいりました。
現在、発電所数については194箇所 3,259万kw、このうち水力発電所は182箇所 522万kw、火力発電所は11箇所 2,237万kw、原子力発電所は1箇所 500万kwの構成になっております。また、送電線路の亘長は12,211kmにのぼっております。
2.当社における岩盤力学との関わり
(1) 水力発電所建設における技術開発
当社はこれまでに、畑薙第一、高根第一、馬瀬川第一、奥矢作第一
· 第二、及び奥美濃の5箇所の揚水発電所並びに数多くの一般水力発電所の建設を行ってきており、現在は、将来必要な電源として位置づけている川浦揚水発電所の計画があります。
水力発電所建設では、ダム · 水路トンネル · 地下発電所空洞など種々の岩盤構造物が構築されますが、これらは何れも立地地点の地形
· 地質状況および岩盤物性等を十分に考慮した設計を行う必要があります。岩盤物性評価のために当社が取り組んできた技術の幾つかの事例について、以下にその概要を紹介します。
1) 初期地圧の評価
大規模地下空洞などの設計に際し、空洞のレイアウトや断面形状、及び支保工の検討のために初期地圧を適切に評価する必要があります。
当社では、約550mの地山被りを有し、き裂が少なく堅硬緻密な花崗岩が分布するサイトにおいて、電中研式埋設法、コンパクトオーバーコアリング法(円錐孔底法)、水圧破砕法、及びAE法の4手法による初期地圧測定を行っています。電中研式埋設法は8成分型ひずみ計を、円錐孔底法は16素子ゲージをそれぞれ用いており、いずれも理論上1回の測定で三次元の応力状態を求めることが可能な方法です。
同一サイトにおいて、異なる4手法による初期地圧測定結果を比較したところ、作用方向、絶対値ともに概ね良く一致するという結果が得られました。
2) 岩盤強度の評価
アーチダム基礎や地下空洞周辺岩盤の安定性を検討するために原位置岩盤の強度を適切に評価する必要があります。一般的には原位置の岩盤せん断試験を行い、供試体破壊時の鉛直応力とせん断応力の関係から破壊基準が定められます。上述の初期地圧評価を実施したサイトでは、トンネル壁面周辺の応力集中領域においてコンパクトオーバーコアリング法による二次地圧(トンネル掘削後の地山に発生する応力)の測定を行い、岩盤が破壊することなく負担している地山応力と岩盤せん断試験の結果得られた破壊基準との比較を試みています。
トンネル壁面直交方向に、深度別に数点二次地圧測定を行った結果、トンネル壁面から約60cmの深度で、二次地圧は最大となり、最大主応力の大きさは初期地圧の3倍弱程度でした。この値は、応力集中の影響を反映したものと思われます。
この時の応力状態はせん断試験供試体破壊時の応力状態とほぼ同程度であり、トンネル周辺岩盤は安定していることから、原位置岩盤せん断試験の結果得られた破壊基準は、岩盤強度を過大に評価しているものではないことを確認しています。
3) 岩盤弾性係数の評価
岩盤の強度と並んで、弾性係数についても構造物周辺岩盤の安定性検討に際しては重要な物性値です。一般的には原位置平板載荷試験を行い、応力-変位曲線から必要な応力レベルにおける弾性係数が定められますが、岩盤は不規則な割れ目を有するため、原位置平板載荷試験結果のばらつきは大きく、サイトを代表する弾性係数を十分な信頼度をもって評価することはかなり難しいのが実状です。
そこで、堅硬な流紋岩にアーチダムが建設されたサイトを対象として、地震(弱震)観測記録から得られる地震波伝播速度を用いて微小変形領域における弾性係数を算出し、原位置平板載荷試験から求めた微小変形領域の弾性係数との比較を行っています。原位置平板載荷試験の微小変形領域における弾性係数は、繰り返し載荷時の応力振幅と応力振幅に応じた弾性係数の関係を用いて算出しました。
原位置平板載荷試験結果から求めた微小変形領域の弾性係数はばらつきが大きいものの、その平均値は地震観測記録から算出した弾性係数と概ね一致するという結果が得られました。
(2) 原子力発電所建設における技術開発
当社の浜岡原子力発電所は静岡市の南西約50km、浜松からは東へ約50kmの静岡県御前崎市佐倉に位置しています。
原子力発電所を建設する場所の岩盤は、原子炉施設の荷重の他、想定される最大の地震による荷重に対しても充分な安全性を確保するため、号機毎に国の安全審査を受ける必要があります。基礎岩盤については、各種の岩石
· 岩盤の物性試験を実施し、基礎岩盤が支持力、すべり、沈下に対して充分安全であることを確認してきています。
浜岡原子力発電所の基礎岩盤は、数百万年から一千万年前の新第三紀中新世後期から鮮新世前期に海底に堆積した相良層と呼ばれる堆積軟岩で、泥岩及び砂岩の互層を成し、亀裂などが少ない均質な岩盤です。泥岩及び砂岩の層厚は、それぞれ約8〜30cmと約2〜20cm、その平均層厚比は約4:1(=泥岩:砂岩)となっています。
当社では、これら互層堆積軟岩の特徴を考慮した岩盤物性評価を行い、基礎岩盤の安全性を確認してきています。互層堆積軟岩の評価のために当社が取り組んできた技術の幾つかの事例について、以下にその概要を紹介します。
1) 軟岩の強度 · 変形特性の評価
軟岩の強度 · 変形特性の評価を室内試験で行う場合には、試料採取時の応力解放の影響を受けて強度
· 変形特性が実際より小さめに評価されるという課題があります。
当社では軟岩の地震時における強度 · 変形特性を室内三軸圧縮試験で適切に評価するため、軸荷重載荷前に所定の圧密圧力で圧密し、非排水条件でせん断をする圧密非排水試験を行っています.
これにより、試料採取に伴う応力解放の影響をなくし、軟岩の強度 · 変形特性を適切に評価しています。
2) 岩石物性を用いた岩盤試験の数値解析
節理、亀裂等の不連続面の少ない軟岩の場合、岩石物性で岩盤物性を表すことができるとされています。
当社では、互層岩盤においてもこのことを実証するため、岩石物性を入力値とした有限要素法により平板載荷試験とブロックせん断試験を模擬した数値解析を行っています。
数値解析における岩盤のモデル化では、実際に岩盤試験を行った箇所の互層の状態、すなわち、泥岩、砂岩の層厚、走向 · 傾斜、載荷板やブロックとの位置関係を観察し、それを忠実に反映するとともに、入力する岩石物性についても、強度
· 変形特性の拘束圧依存性や変形特性のひずみ依存性といった当サイトの岩石物性の特徴を考慮しています。
数値解析の結果は、岩盤試験結果と良く合っており、互層岩盤においても岩石物性で岩盤物性を表すことができることを確認しています。
3) 寸法効果を考慮した適切な岩盤物性の評価
互層岩盤においては、岩盤試験の載荷板やブロックの大きさにより、試験対象領域に含む互層の数が異なってきます。例えば、通常行われる直径30cmの平板載荷試験を行う場合、当サイトの岩盤では載荷板下に含まれる泥岩、砂岩は各1層程度しかなく、現実的に可能な範囲で載荷板やブロックを大きくしても、高々数層程度しか含むことができません。
したがって、平板載荷試験やブロックせん断試験で求めた岩盤物性を原子力発電所のような大型構造物の安定性検討に用いることの妥当性、すなわち岩盤物性の寸法効果が顕著でないことを確認する必要があります。
当社ではこれまで平板載荷試験については直径30cm、100cm、160cm、ブロックせん断試験については1.2m四方、2.4m四方のブロック寸法の岩盤試験を実施するとともに、数値実験により仮想的に非常に大きな寸法の岩盤試験を行うことで、岩盤物性の寸法効果が顕著でないことを確認しています。
3.今後の取り組み
これまで当社における岩盤力学の研究、技術開発は主として電源開発にともなって実施してまいりました。
近年は電力需要の鈍化とともに発電所建設の機会が減少し、これまで培ってきた岩盤力学の調査、設計、施工技術を生かす場が減ってきております。
今後は、ダム基礎岩盤、地下発電所空洞等の長期的な安全評価といった保守管理面にも視点を向けて、蓄積技術の利活用を図って行きたいと考えております。
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(連絡先)
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中部電力株式会社 発電本部 土木建築部
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技術 · 企画グループ
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TEL:052-973-3090
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