Rock Net Japan

賛助会員

JCRM Members

 

岩の力学 News No.079


株式会社熊谷組 土木事業本部

 


1.熊谷組土木事業本部の概要

 熊谷組は明治31年に創業し、昭和4年に着工した三信鉄道(現・JR飯田線)という当時の難工事を完成させ、それを機に昭和13年1月に株式会社熊谷組としてスタートしました。

以来、ダム工事、鉄道・道路などのトンネル工事にと、我が国のインフラストラクチャーとなる様々な土木工事に携わってきました。特にトンネル工事では、その後のトンネル工法の標準工法となったNATMを日本で初めて本格的に採用するなど、常に最先端技術や工法の開発などに努めてきました。

 土木事業本部は土木に関わる営業・設計・技術開発・現場支援などの業務に関する中核と位置づけ、10部門が設置されています。このうち“岩盤”には主に山岳トンネルやダムに関わる部門を主体とし、支店および関連会社と協働しながら携わっています。

今回は、当社の岩盤に関する技術の一部として、岩盤破砕および岩盤の画像処理技術について紹介します。

 

2.PAB工法による岩盤破砕技術

 近年、土木工事では都市等に伴い、住宅地や近接構造物等へ及ぼす騒音・振動の影響が重要な問題となっています。そのため、発破工法は使用できず、大型掘削(切削)機械を採用しても中硬岩以上の地山では掘削能力に限界があり、難渋する場合が多く見られます。

100MPa  200MPa  300MPa

 

 

PAB工法

 
テキスト ボックス:

-1 各種掘削機械とPAB工法の適用範囲

 

 熊谷組と他1社では、こうした背景より「水と電気だけ」を利用した環境に優しいプラズマによる岩盤破砕技術(PAB:Plasma Acoustic Blasting)を開発しました(図-1参照)。ここでは、PAB工法の簡単な原理およびトンネル切羽の芯抜きにPAB工法を採用した事例を紹介します。

PAB工法の原理

 プラズマ岩盤破砕とはプラズマにより発生する衝撃波を利用した破砕技術です(図-2)。施工手順(図-3)は、破壊対象物である岩やコンクリートに穿孔し、その先に充填された水などの液体に電極棒(プローブ)を挿入します。この電極から高出力放電を行い、この時生じたプラズマが急激に膨張することにより衝撃波を生じます。これが周辺の破砕対象物に伝わり破砕するものです。

 

テキスト ボックス:

-2 プラズマ発生機構

@孔開け        A水注入      B電極セット      C放電・破砕

 
テキスト ボックス:

 

テキスト ボックス: 図-3 施工手順(本頁の図,写真はPAB工法協会資料より出典)

 

PAB工法によるトンネル切羽の芯抜きへの活用

 住宅地近傍で、発破の規制が実施されたトンネルにてPAB工法を活用しました。対象地山は中硬岩程度の花崗岩類であり、PAB工法を発破の際に最も発破振動が大きくなる切羽の芯抜き部にて採用しました。

 図-4は芯抜き部において一進行長(1.2m〜1.5m)をPAB工法にて予め多数の亀裂を発生させた後に、その周辺においてのみ実施した制御発破時の岩盤の破砕状況です。発破振動は規制値内に抑えられ、また、その後の分割発破も支障なく実施することができました。今後、発破に際し、規制などが付与されるような都市部での岩盤掘削工事にて活用が期待されます。

テキスト ボックス:

 

-4 芯抜き部でのPAB工法および制御発破併用状況

 

3.TBM掘削時の坑壁画像処理技術

TBMの場合、「マシン近傍での観察のためにクリノメ−タ−が使用出来ない」、「一次支保前の危険な状況下での観察が要求される」、「観察時間が制約される」などの諸条件があります。そのため、TBM坑壁の情報を確実・安全・効率良く得る必要があることから、TBM坑壁画像取得システムを開発しました。以下に坑壁画像の取得方法および利用方法を説明します。

坑壁画像の取得方法

坑壁画像の撮影には、撮影画像の処理(補正・結合)が容易なデジタルビデオカメラを採用しています。また、短時間でかつ連続写真となるような撮影方法を構築するとともに、坑壁の直下に入らないように、撮影は斜め後方より行います(-5,図-6)。

坑壁画像の利用方法

撮影後は、熊谷組の所有ソフト「山岳トンネル総合管理システム Mother21をベースに、TBM用に新たに開発したソフトで坑壁画像の取り込み・補正・結合を行い、連続画像を作成します(図-7)。また、地質展開図の作成や各帳票類の作成を並行して行います。さらに、得られた展開図より各岩種境界・断層・節理などの走向傾斜を算出できます。これらの情報はトンネルに対して実座標を持つことから、数値解析(キ−ブロック解析・不連続体解析など)へ展開することも可能です。

このような坑壁撮影システムを用いることにより、迅速かつ確実な坑壁画像が取得でき、TBM坑の地質観察の精度向上が図られます。

 

-5 坑壁画像取得システム概念図

 

-6  デジタルビデオカメラ設置概念図

-7 画像処理後のTBM坑壁連続画像(左)と地質展開図(右)L=15m)

 
テキスト ボックス:

 

 

4.おわりに

 熊谷組が取り組んでいる岩盤の破砕技術や画像処理技術の一部を紹介しました。今後も、過去の技術を活かしつつ更なる技術開発、新しい分野の開拓などに取り組む所存です。

 

 
(お問い合わせ先)

株式会社 熊谷組 土木事業本部 

162-8557 東京都新宿津久戸町2-1

TEL:03-3235-8622FAX:03-3266-8525

HP: http://www.kumagaigumi.co.jp/

 


Copyright (c) 2004 JCRM All Rights Reserved