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岩の力学 News No.079


独立行政法人 日本原子力研究開発機構 地層処分研究開発部門

 


1.日本原子力研究開発機構の概要

 日本原子力研究開発機構(原子力機構)は、日本原子力研究所と核燃料サイクル開発機構とが統合し、2005年10月1日に新たに設立された独立行政法人です。原子力機構は、原子力に関する基礎的研究および応用研究ならびに核燃料サイクルを確立するための研究開発を行う原子力に関するわが国唯一の総合的研究開発機関です。

 

2.地層処分研究開発部門の概要

 原子力機構の研究開発部門の一つである地層処分研究開発部門は、高レベル放射性廃棄物の地層処分の実現に向け、基盤的な研究開発を実施しています。地層処分技術の信頼性の向上を図り、原子力発電環境整備機構による処分事業と、国による安全規制を支える知識基盤を整備することを当面の目標とし、地層処分技術の信頼性をさらに高めていく観点から、「実際の地質環境への地層処分技術の適用性確認」と「地層処分システムの長期挙動の理解」という2つの目標を掲げて、研究開発を進めています。最新の研究成果は、報告書「高レベル放射性廃棄物の地層処分技術に関する知識基盤の構築−平成17年取りまとめ−」として2005年9月に公開しています。

@ 実際の地質環境への地層処分技術の適用性確認

1つめの目標である「実際の地質環境への地層処分技術の適用性確認」については、深地層の研究施設(瑞浪・幌延)などを活用して、「地上からの調査研究段階(第1段階)」、「坑道掘削時の調査研究段階(第2段階)」、そして「地下施設での調査研究段階(第3段階)」と、段階的に研究開発を進めながら、これまでに整備してきた様々な技術を適用し、その信頼性を確認していきます(図-1)。
 現在は、第1段階の「地上からの調査研究段階」が終了し、第2段階の「坑道掘削時の調査研究段階」を進めているところです。各段階の調査研究は、処分事業の進展に先立って進めています。

 

-1 実際の地質環境への地層処分技術の適用性確認

 

A 地層処分システムの長期挙動の理解

2つめの目標である「地層処分システムの長期挙動の理解」については、地下深部の地質環境条件やその長期

的な変化に対する理解を深めながら、人工バリアや周辺の岩盤中で起こる様々な現象をより現実的なデータとモデルで再現するなど、地層処分システムに関連する現象への理解をさらに進め、評価の信頼性や裕度を高めていきます(図-2)。

 地層処分後の長期の間には、ガラス固化体中に閉じ込められていた放射性物質が、地下水と接触して溶解し、地下水を介して岩盤中を移動することが想定されます。そのような長期的な現象を評価するため、たとえば岩盤の亀裂を通過する地下水の動きや、地下水を介した物質の挙動をモデル化するための手法の高度化などを進めています。

 

-2 地層処分システムの長期挙動の理解

 

これら2つの目標を達成するため、地層処分研究開発部門では、「東濃地科学センター」、「幌延深地層研究センター」、「東海研究開発センター 核燃料サイクル工学研究所」という3つの研究開発拠点において、地層処分技術に関する研究開発を行っています(図-3)。

 

-3 地層処分研究開発部門の研究開発拠点と担当分野

 

岐阜県の東濃地科学センターでは、超深地層研究所計画を中心として、主に花崗岩を対象とした深地層の科学的研究を行っています。北海道の幌延深地層研究センターでは、幌延深地層研究計画として、堆積岩を対象とした深地層の科学的研究に加えて、処分技術や安全評価手法に関する研究開発についても実施しています。核燃料サイクル工学研究所ではエントリーやクオリティといった室内試験施設を活用して、処分技術の信頼性向上と安全評価手法の高度化に関する研究開発を行っています。

 

3.超深地層研究所計画における岩盤力学研究

 地層処分研究開発部門における岩盤力学研究は、主に瑞浪超深地層研究所および幌延深地層研究センターの2つの深地層の研究施設を活用して研究を進めています。特に第1段階における調査研究として、2つの研究施設が建設される対象岩盤の調査を通じて、岩盤力学に関するデータの取得方法および評価方法(モデル化手法)を確立するとともに、研究坑道などの地下施設を構築した場合の研究坑道周辺岩盤の力学的な影響予測を行っています。第1段階における調査研究結果については、第2段階以降に研究坑道からのボーリング調査などにより岩盤力学データを取得し、この結果との比較を行うことによりその妥当性を検証します。

以下に岐阜県瑞浪市で実施している超深地層研究所計画第1段階における岩盤力学研究の概要を紹介します。超深地層研究所計画は、深度1,000m程度の2本の立坑(主立坑・換気立坑)と2つの水平坑道群(中間ステージ;深度500m、最深ステージ;深度1,000mを計画)の掘削・建設を伴う深部地質環境の研究計画です(岩の力学ニュースNo.73参照,写真-1)。

 

写真-1 瑞浪超深地層研究所の現況

 

本計画における岩盤力学研究としては、研究坑道群が主に建設される土岐花崗岩を研究対象として、深度1,000mまでの岩盤力学データとして、@土岐花崗岩の物理・力学特性、A初期応力の深度分布を取得しました。初期応力の測定についてはボーリング孔およびボーリングコアを用いて、現存する複数の手法を適用しました。また取得された岩盤力学データに基づき、研究坑道掘削に伴う坑道周辺岩盤の挙動予測解析を実施しました。

 

ボーリングコアを用いた室内物理・力学試験により、瑞浪超深地層研究所用地における力学物性値は日本の花崗岩の平均値とほぼ同じであることが確認されました。しかし、深度ごとの値を詳細にみると、深度による値の変化が認められ、地質学的に同じ岩盤であっても、力学物性が場所によって変わりうることから、同種の調査では複数の深度や地点での調査の必要性が確認されました。

初期応力測定としては、ボーリングコアを用いた手法として、@AE法とDRA法との併用法(AE/DRA法)、ADSCA法、BASR法を、ボーリング孔を用いた手法として水圧破砕法を行い、技術開発として、深層ボーリング孔における応力解放法による初期応力測定の開発を行いました。初期応力測定の結果、瑞浪超深地層研究所における応力状態は、深度600mを境に変化していることが確認されました。すなわち、地表から深度600mまでは逆断層型の応力状態であるのに対し、深度600mより深くなると正断層〜横ずれ断層型の応力状態へと変化していることが確認されました。変化の要因ははっきりとはしていませんが、深度600m付近に存在する断層の影響が要因の一つと考えられており、このような地形や地質構造が応力状態に及ぼす影響を評価する研究も行っています。

 図-4はこれらの第1段階の調査結果をもとに構築した瑞浪超深地層研究所における岩盤力学概念モデルです。

-4 瑞浪超深地層研究所における岩盤力学概念モデル

 

4.おわりに

 瑞浪・幌延の2つの深地層の研究施設における調査研究は昨年度までに第1段階を終了し、坑道の掘削を伴う新たなフェーズへと入りました。今後とも皆様の一層のご指導・ご協力をお願い申し上げます。

 

(参考資料)核燃料サイクル開発機構(2005):「高レベル放射性廃棄物の地層処分技術に関する知識基盤の構築−平成17年取りまとめ−」ほか

 

(連絡先)独立行政法人 日本原子力研究開発機構

地層処分研究開発部門

結晶質岩地質環境研究グループ 中間 茂雄

TEL 0572-66-2244  FAX 0572-66-2245

E-mail nakama.shigeo@jaea.go.jp

 


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