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1.会社概要
戸田建設株式会社は,1881年の創業以来,「品質・工期・安全に最善をつくす」ことを社是として掲げ,最良の品質のものをお届けすることを基本として,建築・土木の技術開発はもとより,環境保全にも積極的に取り組んでおります.そして,建設を通じて社会に貢献し,信頼される企業となることを目指しています.
2.岩盤工学に関する技術紹介:EG-Slitter(割岩工法)
戸田建設は,平成11年10月より西松建設と業務提携を開始し,その一環として建設技術やソフトに係わる共同研究を行っています.山岳トンネルグループでは,山岳トンネルの掘削工法としてEG-Slitter(割岩工法)を開発しました.本技術は,平成18年2月に日本建設機械化研究所から建設技術審査証明を取得しています.
注)EG−Slitter: Elastic Guide Rod Slitter
2.1 概要
最近の山岳トンネルでは,坑口周辺の民家や重要構造物との近接工事,坑口周辺の落石対策,リニューアルを目的としたトンネル拡大などの事例が増え,騒音や振動への対策がより重要となってきています.このような背景から,発破工法に代わる低振動・低騒音掘削工法としての割岩技術が注目されています.
割岩工法とは,切羽岩盤に自由面や単独孔を削孔し,これらを破砕の開始点あるいはガイドとして切羽岩盤から岩を順次切り出す工法です.発破工法と比較して掘削効率はかなり落ちるものの,低振動・低騒音が要求される施工条件で一軸圧縮強度100〜200
MPaクラスの硬岩を掘削できます.
割岩工法の工程は,
@ 自由面形成:連続孔により岩を起こす余地を作る
A 割岩孔穿孔:一次破砕を行うための割岩孔をつくる
B 一次破砕 :岩を起砕する
C 二次破砕 :岩を細砕する
の4段階から構成されます.
戸田・西松両社が開発した割岩技術(EG-Slitter)はこのうち@自由面形成と,A割岩孔穿孔に関わる技術です.自由面形成・割岩孔の穿孔方法としては,単一孔連続方式と多連ドリル方式が用いられていますが,EG-Slitterは単一孔連続方式で,トンネル工事用のドリルジャンボに簡易に装備できるアタッチメント方式となっています(写真−1,図−1参照).
EG-Slitterの特徴は以下のとおりです.
(1)専用重機を必要としない
ドリルジャンボに専用装置を装着する.
(2)高剛性ロッドにより直進性を確保する.
パイロット孔への孔曲がりを防止する.
(3)ガイド管長が短い.
パイロット孔への挿入時のトラブルを軽減するとともに削孔時のクリコの排出を容易とする.
(4)伸縮機能を備えたガイド管を使用する.
パイロット孔・割岩(単独)孔削孔時にガイド管を取り外す必要がなく作業効率が向上する.
(5)部材の損耗率が小さい.


2.2 性能確認
(1) 岩石供試体を用いた自由面形成能力確認試験
3種類の花崗岩供試体(約1.5m3程度:削孔面が1m×1m,奥行:1.5m.一軸圧縮強度はそれぞれ147,187,205
MPa)を用意し,ドリルジャンボによる自由面形成能力を確認しました.写真−2に実験状況を示します.自由面形成のための削孔時には,これらの供試体を架台上にレバーブロックで固定し,削孔時に供試体が滑動するのを防止しました.自由面の形成は図−1に示した手順に従い,縦および横方向に行い,自由面の形成量の算定には,自由面の孔奥行き(削孔深さに相当:1.2
m)と自由面幅(連続孔幅)を測定し,それらを乗じて求めた値(単位:m2)を使用しました.また自由面形成能力は,自由面形成量を総形成時間(削孔時間+ノミ移動時間など)で除して求めました.なお,本実験で用いた削岩機はアトラスコプコ社のCOP1440であり,ビットはφ102のボタンタイプを使用しました.
図−2に,EG-Slitterによる自由面形成能力を一軸圧縮強度との対比で示します.実験の結果より,EG-Slitterは汎用機であるドリルジャンボに簡便に装着できる装置であり,装置をつけたまま単独孔削孔が可能で,任意の方向に連続性の優れた連続孔の形成が可能であること,また打撃出力20kW級の削岩機を使用した場合の連続孔形成能力は,一軸圧縮強度200MPa以下で平均値4.7m3/hrであることが判明しました.


(2)トンネル坑口部での実証施工
平成16年7月に戸田建設施工の道路トンネルで実証施工を行いました.実証施工に適用したトンネル坑口部は,亀裂が非常に少なく100〜150MPaと非常に硬質な花崗閃緑岩が分布するため,標準の機械掘削方式での施工は困難でした.また,通常の発破掘削方式については坑口周辺近くに民家が密集していることから,発破振動による騒音・振動が周辺環境に悪影響を与えるため使用できませんでした.そのためトンネル坑口においては防音シェルター,トンネル外周への盛土による防音ドームを設置し,なおかつ3重の防音扉を計画しました.このような厳しい条件下でのトンネル掘削に対し,振動騒音が少なく,効率的な掘削技術としてEG-Slitterを適用しました.現場適用の結果,騒音規制値60dBを下回る値を得ました.装置の作動性・操作性は良好で,効率的な自由面形成・穿孔能力があることが実証されました.図−3に割岩パターンを,写真−3に連続孔の形成状況を示します.


3.おわりに
戸田建設は岩盤工学関連技術としてEG-Slitterのほか,山岳トンネルでの高精度切羽前方探査システム(NT−Explorer),トンネル断面測定システム,制御発破工法等多数の技術を保有しています.
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