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[巻頭言]
「岩 盤」
中村一樹(応用地質株式会社)
十年一昔.
岩盤の世界は,変わりました.
私が会社に入社した頃(平成7年)は,まだダムや原子力発電所の建設もあって,多くの岩盤技術者が第一線で活躍していました.
私が配属された計測技術課では,岩盤に関する試験計測を職掌としており,孔内試験をはじめ,今は少なくなった岩盤せん断試験,オーバーコアリングなどによる初期応力測定など,さまざまな岩盤試験を経験させてもらいました.
大学での研究も,この分野.
大学で学んだことを即活かせることができ,委員会等で対面する有識者は知っている人や,読んだことがある論文の著者.なんとも充実していた気がします.
そして今は昔.
私の仕事は,岩盤試験関係から,私たちが岩盤構造物と呼んでいるトンネルや斜面の維持管理関連に移行しました.
これからの岩盤技術者は,あたらしい切り口を見つけるか,はたまたこれから発展を遂げようとしている海外にこれまで培った技術を提供するかの選択を迫られているように思います.
なんともさみしい気もしますが,時代の流れ.抗うことはできません.
このニューズレターをご覧のみなさまは,どのような変革を遂げているのでしょうか.
1.トピックス
今回は最新の学会参加報告を,岩盤に関するトピックスとして3件をご紹介いたします.
1) 瑞浪超深地層研究所における研究坑道掘削の現状
見掛信一郎・山本 勝・池田幸喜・竹内真司・原 雅人
((独)日本原子力研究開発機構 東濃地科学センター 施設建設課)
(独)日本原子力研究開発機構(以下,原子力機構)は,高レベル放射性廃棄物の地層処分研究開発の基盤となる深地層の科学的研究の一環として,岐阜県瑞浪市と北海道幌延町において深地層の研究施設を建設中である.このうち,岐阜県瑞浪市で建設を進めている瑞浪超深地層研究所は,花崗岩を主な対象として研究を行っている.
本計画では,第1段階「地表からの調査予測研究段階」,第2段階「研究坑道の掘削を伴う研究段階」,第3段階「研究坑道を利用した研究段階」の3つに分けて調査研究が実施される.調査研究は,@「深部地質環境の調査・解析・評価技術の整備」およびA「深地層における工学技術の基盤の整備」の2つを全体目標とし,現在,第2段階「研究坑道の掘削を伴う研究段階」の調査研究を進めている.その成果は,主に高レベル放射性廃棄物の処分事業における地下施設の建設中の調査に対する基盤的な技術や情報として活用されることを目指している.本報告では,瑞浪超深地層研究所における研究坑道掘削の概要を述べる.
(これ以降,詳細はHPでご覧ください)
http://www.jsce.or.jp/committee/rm/News/news14.html
2) ISRM 11thCongress参加報告
西村 強(鳥取大学)
国際岩の力学会第11回大会(ISRM 11th Congress)が2007年7月9日から7月13日にかけて,ポルトガル・リスボンのCongress Center
Lisbon(CCL)において開催された.
この学会の参加報告をお伝えします.
(これ以降,詳細はHPでご覧ください)
http://www.jsce.or.jp/committee/rm/News/news14.html
3) 土被り1,000mでの不良地山帯・大量湧水帯との挑戦 −東海北陸自動車道 飛騨トンネル 貫通までの軌跡−
寺田 光太郎(中日本高速道路株式会社 中部支社 清見工事事務所)
飛騨トンネルは,東海北陸自動車道最後の未開通区間である,飛騨清見IC〜白川郷IC間に位置する全長10.7kmの高速道路トンネルである.トンネルの特徴としては,縦断勾配が白川側(富山側)から河合側(名古屋側)に向け2%の一定上り勾配となっていること,最大土被りが約1,000mと非常に大きいことなどが挙げられる.
以上のような条件から,上り勾配で白川側からの急速施工を基本とし,道路に供用する本坑,緊急時および維持管理に使用する先進坑ともにTBMによる片押し施工とし,平成10年2月に掘削を開始した・・・・・
(これ以降,詳細はHPでご覧ください)
http://www.jsce.or.jp/committee/rm/News/news14.html
2.書籍等の紹介
岸田潔(京都大学)
「Groundwater」
著者:by Alan R. Freeze and
John A. Cherry
出版社:Prentice Hall
本書は,大学生および大学生院生の教科書としてだけでなく,地下水およびそれに関連する分野に携わる人にとって非常に有効で書物です.地下水の水文学は,化学,物理学,地質学,数学の知識に基づいた包括的な理解が必要です.本書は,地下水の流れ,水循環,地下水資源の評価,井戸理論,滞水層の評価などの地下水に関する基本的な項目から構成されています.さらに,地下水汚染や地化学に関する内容も示されています.地下水汚染,土壌汚染,さらに汚染物質の移流・拡散問題は,非常に重要かつ現代社会が直面している問題であり,地下水の汚染や化学的な知識の習得は,岩盤工学者・地盤工学者として必要不可欠なことであると考えます.本書は,これらの実際的な問題へ対応する場合の基礎知識を十分供給してくれるものと考えます.本書には,地下水に関する理論解や基礎的な数値モデルの解説を含んでおります.ただし,差分法や有限要素法に関する解説は少なく,数値モデルおよび数値解析の実際への応用・展開という点では,やや物足りないものとなっています.
3.会議予定
【国内の会議】
1)
会議名:第37回岩盤力学に関するシンポジウム
日 時:2008. 1. 10 – 11
場 所:東京・土木学会講堂・会議室
リンク:http://www.jsce.or.jp/committee/rm/ronbun/simpo/top_001.htm
2)
会議名:第13回地下空間シンポジウム
日 時:2008. 1.16
場 所:東京・早稲田大学国際会議場
3)
会議名:地盤工学会第43回地盤工学研究発表会
日 時:2008.7.9-12
場 所:広島・広島国際会議場
4)
会議名:第12回岩の力学国内シンポジウム
日 時:2008.9.2-4
場 所:山口・山口大学工学部(宇部市)
5)
会議名:土木学会平成20年度全国大会 第63回年次学術講演会
日 時:2008.9.10-12
場 所:仙台・東北大学川内北キャンパス資源・素材学会秋季大会
【海外の会議】
1) 会議名:Underground
Construction Technology (UCT) Conference and Exhibition
日 時:29 – 31 Jan., 2008.
場 所:アメリカ合衆国・アトランタ
2) 会議名:6th
International Symposium on Ground Support in Mining and Civil Engineering
Construction, an ISRM-Sponsored Regional Symposium
日 時:31 March – 3 April, 2008.
場 所:南アフリカ・ケープタウン
3) 会議名:2nd
International Conference on Geotechnical Engineering for Disaster Mitigation
and Rehabilitation (GEDMAR08)
日 時:16 – 19 May, 2008.
場 所:中華人民共和国・Nanjing
4) 会議名:10th
International Symposium on Landslides and Engineered Slopes
日 時:30 June – 4 July, 2008.
場 所:中華人民共和国・Xian
5) 会議名:World
Tunnel Congress 2008 & 34th ITA General Assembly
日 時:22 – 27 Sept., 2008.
場 所:インド・ニューデリー
6) 会議名:12th
International Conference of the IACMAG
日 時:1 – 6 Oct., 2008.
場 所:インド・Panaji
7) 会議名:Underground
Infrastructure of Urban Areas 2008
日 時:22 – 24 Oct., 2008.
場 所:Poland
8) 会議名:36th
Congress of the IAH - Integrating Groundwater Science and Human Well-Being
日 時:26 Oct. – 1 Nov., 2008.
場 所:日本・富山
9) 会議名:SINOROCK
2009
日 時:19 – 22 May, 2009.
場 所:中華人民共和国・香港
10) 会議名:World
Tunnel Congress 2009 & 35th ITA General Assembly
日 時:23 – 28 May, 2009.
場 所:ハンガリー・ブタペスト
11) 会議名:Rapid
Excavation and Tunneling Conference (RETC 2009)
日 時:14 – 17 June, 2009.
場 所:アメリカ合衆国・ラスベガス
12) 会議名:17th
International Conference on Soil Mechanics and Geotechnical Engineering
(ICSMGE)
日 時:5 – 9 Oct., 2009.
場 所:エジプト・アレキサンドリア
13) 会議名:Advances
in Rock Engineering, an Asian Rock Mechanics Symposium
日 時:6 – 8 Oct. 2010.
場 所:インド・Panjim
14) 会議名:12th
International Congress on Rock Mechanics
日 時:16 – 21 Oct., 2011.
場 所:中華人民共和国・北京
4.法人会員のページ
土木学会法人会員による「岩盤工学等の分野で得意とする技術情報等の紹介」を目的とした「法人会員のページ」です.今回は中部電力株式会社のご紹介です.
<中部電力株式会社>
中部電力では低廉・良質な電気を安定供給するため数多くの発電所,送変電設備を建設し,運用しております.これまで当社は岩盤力学の研究,技術開発を主として電源開発とともに進めてまいりましたが,近年電力需要の鈍化とともに発電所建設が減少していることから,今後は保守管理面に視点を向けて,蓄積技術を活用したり,向上させる機会を生かしながら岩盤力学技術の開発を図っていきたいと考えております.
今回,その保守管理に活用できる技術開発の1つとして「ロックアンカの非破壊試験による健全性評価手法」について簡単にご紹介します.
法面や地下空洞に設置されたロックアンカは経年とともに健全性の低下が懸念されます.一般的にはこれらの調査には引き抜き試験が用いられますが,仮設を含め試験設備が大規模となり,費用も高額となることから,簡易な非破壊試験による健全性評価手法の確立が望まれておりました.そこで,既設コンクリート杭の健全性が高周波衝撃弾性波理論に基づいて調査されることに着目するとともに,この手法をロックアンカ健全性評価へ適用することを着想し,実際の地下発電所に施工されたロックアンカを対象に現地試験を行いました.その現地試験結果と室内試験より得られた試験データの両者を用いて解析・評価を行った結果,健全性評価手法確立の可能性を得ることができました.今後さらにデータの蓄積を重ね,この手法の有効性・汎用性を検証し,非破壊試験によるロックアンカ健全性評価手法の確立を目指します.
保守管理面に視点を向けた岩盤力学技術開発の一例をご紹介しましたが,今後,ダム基礎岩盤,大規模地下空洞等の長期的な安全評価へ活用できる技術開発をさらに推進していきたいと考えております.
詳しくはこちら(http://www.chuden.co.jp/)をご覧ください.
[編集後記]
初めて巻頭言を担当させていただきました.私のような若輩者が書いたものを皆様にお届けすることをお許しください.巻頭言にも書きましたが,本当にここ10〜15年くらいで大きく岩盤をとりまく環境は変わって,さびれる一方です.しかし,私にはひょっとしたらという希望がまだあります.@宇宙資源開発時代の到来,Aエコブームが過熱しすぎて,地底に住む人が発生,Bなんでも地底に捨てる時代に・・・なんてことで,岩盤技術者がRT(Rock Mechanics & Technology)長者と呼ばれる時代が・・・ないですかねぇ?(中村一樹)
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ニューズレター編集担当:中村 一樹(岩盤力学委員会企画小委員会幹事)
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