2021 年5 月28 日に開催された第44 回岩の力学連合会社員総会ならびに理事会におきまして,伊藤前理事長から引継いで理事長に選任されました.責任の重さに改めて身の引き締まる思いです.理事会,会員ならびに諸先輩の皆様のお力添えも賜りながら,微力ながら連合会の発展に努めて参る所存ですので,何卒よろしくお願い申し上げます.

 岩の力学連合会は,ご存じのように岩の力学研究連絡委員会(1964 年)をその前身として1974 年に連合会として発足し,2010 年に法人化を致しました.これまで連合会は,ISRM の日本ナショナルグループとしての国際貢献や日本の成長を支える基礎学問の普及発展に貢献し,時代と共に国内外からの社会要請や環境の変遷を見てきたものと思います.

 川本朓万先生(1991 ~ 1992 年度期理事長,名古屋大学名誉教授)が,土木学会論文集(No. 457 /Ⅲ – 21,pp.1 – 12,1992 年)で述べられている「岩盤力学の回顧と展望」を改めて拝読すると,時代と共に求められる「理論(学問)と技術(実務)の連携」ならびにISRM など国内外の関連学協会の取組みの歴史的変遷を感じる次第です.最近では,2017 年にISRM の名称が「The International Society for Rock Mechanics and Rock Engineering」に変更されました. それまでの「Rock Mechanics」に「Rock Engineering」も加わり,正に「学問と実務の連携」の重要性を改めてISRM が謳ったものと理解しています.

 このような社会・環境の変遷も捉えながら,ご存じのように連合会内では「将来構想2003」,「将来構想2016」を羅針盤として,10 年程度先を見据えた長期的視野での組織の運営・改善が20 年近く前から進められています.詳細は連合会ホームページなどをご覧頂くとして,現在「将来構想2016」の提言に基づき,理事会を中心に残された課題の解決に向けて取組みが進められています.例えば,「中長期的視野に立った国際会議の企画」は,2019年度に2 件の国際会議が開催され,さらに2021 年度にも1 件開催予定で,2026 年にはARMS14 を日本で開催する予定で調整が進められています.このような国際会議と共に「若手研究者・技術者の育成・助成」などの取組みや,「会員サービスの向上」と「新たな会員の加入」の取組みも進められています.また,各学会単独ではカバーできない総合的な岩盤科学技術の創生と体系化に向けた「新しい研究分野の創生」や,日本の国際的プレゼンスを示すために「ISRM への積極的参画」も検討が進められています.

 私自身はここ数年,賛助会員会議の開催とその企画運営に携わらせて頂きました.これも「将来構想2016」の提言を受けたもので,前述の「学問と実務の連携」に向けて,その主体である「学と産(民)」が積極的にコミュニケーションを図り岩の力学分野発展のため共に協力・貢献できることを目指しています.また,当連合会は,土木学会,地盤工学会,資源・素材学会,日本材料学会の組織4 団体はもちろん,その周辺分野の学協会や産業界も含めた協力・連携を視野にシナジー効果的に「活性化」を図ることが重要と考えています.

 例えば,土木分野を中心とした産業界では建設投資や就業者の減少などの背景から,2016 年より国の主導で生産性向上に向けたi – Construction が推進されていることはご存じと思います.ICT,IoT,ドローン,ロボット,衛星測位,AI,DX など,革新的技術を導入した調査・測量,設計,施工,維持管理の各プロセスで生産性向上の取組みが進められています. 激甚化する災害に対する防災・減災対策,現場の安全対策,老朽化するインフラの維持管理・更新などへの適用も期待されています.

 岩の力学を中心とする学問とはその直接の目的や対象は異なる部分もありますが,このような技術が実務に導入されることで土木分野から関連周辺産業などへの普及展開や応用に,さらには岩の力学の新しい研究領域の展開や創生などに,相乗的な活性効果を期待したいと思います.

 さて,2020 年初頭からのコロナ禍は,私たちのワークスタイルやライフスタイルの変更を余儀なくしています.今後,ニューノーマルを支える社会システムがどのようなものになるか現時点では不透明な点も多いですが,例えばオンライン会議は遠隔地や海外とのコミュニケーションの容易さ,利便性,経済性などには多くの方がメリットも感じておられると思います.当連合会でも現場見学や親睦の場などのオンライン化も検討しながら,多様な方式で迅速な運営と親密な連携を図り,連合会の活性化に努めて参りたいと思います.

 最後に,会員の皆様ならびに組織団体の益々のご発展を祈念しますと共に,引き続き連合会へのご支援とご鞭撻をお願い申し上げまして就任の挨拶とさせて頂きます.

 

第21 代 理事長 奥野哲夫(2021 ・2022 年度期)
(清水建設株式会社)