岩の力学連合会第19代理事長 新孝一

2017年6月14日に開催されました第40回岩の力学連合会社員総会ならびに理事会におきまして、理事長に選任されました。

 岩の力学の黎明期からの発展を直接知らない世代になりますが、例えば岩の力学ニュースNo.100の川本眺万先生の特別寄稿を読み返しますと、1950年代ISRM設立以前に遡る岩の力学の揺籃から発展の経緯がいくつかの具体のプロジェクトとともに記されており、その発展を担ってきた多くの偉大な先輩の皆様方に改めて敬意の念を抱きます。高度成長期を経てその後の社会経済状況が変化してきた中で、岩の力学連合会は積極的に自己変革に努めて来ました。2003年には10年余り先を見据えた将来構想検討特別委員会最終報告が出されて組織や事業について提言がなされました。その後の取組みは目ざましいものであり皆様よくご承知のことと思いますのでいくつかのキーワードだけ辿ると、発信システムとしてのRockNetの運用、表彰制度、法人化、基金運用の弾力化とそれによる事業の機動的な推進、事務局一元化、などが挙げられます。また2003年将来構想に具体的には言及されていませんが、清水理事長期には学術会議の協力学術研究団体に認定されたこと、すなわち国に学会として認定されたことも挙げられます。そして10余年を経て尾原理事長期に次の10年を見据えた成長戦略を検討し、京谷理事長期の2016年には将来構想2016として取りまとめられて新たな変革への取組みに着手されました。新しい提言では、

  1. 国際活動として、中長期的な視野に立った国際会議の企画、ISRMでの学術活動などへの積極的な参加。
  2. 国内事業として、「将来構想2003」で提言された「総合的な岩盤科学技術の創生と体系化」に向けた新しい研究分野の創生、その体系に基づき各学会単独ではカバーできないテーマや緊急性・発展性の高いテーマを取り上げた連合会としての統一した岩の力学シンポジウムの実施、若手会員に対する「未来のリーダープログラム」の検討と実施、など。
  3. 合理的な運営のための組織改善として、賛助会員特別会議を通じた学術グループと実務グループとの交流と連合会運営への参画、常任理事会および委員会の役割、など。
  4. 財政改革として、個人会員の増強と会員サービスの充実、新しい収入源の検討。

以上の提言がなされました。既に中長期的な視野に立った国際会議の企画や、新しい研究分野の創生の1つとしてリニアコライダーに関する研究企画の検討にも着手されています。

 将来構想2016の提言でも挙げられた「総合的な岩盤科学技術の創生と体系化」に向けた取り組みは、当連合会の将来の存立意義の多少に関わるものと言えるのではないでしょうか。高度成長期に必要とされ発展してきた岩の力学だけでは解決できない、そして私たち岩の専門家が取り組むことのできる・取り組むべき新しい課題もあるはずです。自身の無知蒙昧への謗りを顧みず挙げれば、地震の発生メカニズムから震動と被害対応、今後ますます極端化すると言われる気象による岩盤崩壊等の災害対応、海底および海底下資源の開発、CO2の地中貯留、高レベル放射性廃棄物の処分、誘致への期待の高まる国際リニアコライダー、様々の岩盤事象に従来考えられていたよりも影響を与えている可能性が指摘される力学と化学の連成やその他の現象、など。また目を国外に向ければそれぞれの地質・岩盤状況に応じた岩盤プロジェクトは枚挙しきれないでしょう。

 提言に対して理事会ならびに常任理事会でできることから取り組み、これまでの連合会の自己変革への取組みをしっかりと継承し着実に進めることにより、多くの若い人がこの分野に大いに興味を持ち、この分野がなし得る国内外への貢献がますます大きなものとなるように寄与することが使命と考えております。私自身は微力ですが、将来構想・将来計画などの重要な施策立案の責任主体であり、長期戦略の司令塔と位置付けられる常任理事会で、難しい課題も継続的に検討したいと思います。

 最後に、会員の皆様ならびに組織団体のご発展を祈念し、連合会へのますますのご支援とご鞭撻をお願い申しあげまして就任の挨拶とさせて頂きます。

第19代理事長  新 孝一
(一般財団法人 電力中央研究所)