岩の力学連合会第18代理事長 京谷孝史教授

 去る2015年6月26日に開催されました第38回岩の力学連合会総会(社員総会)において平成27,28年度期の第18代理事長に選任されました.

 岩の力学連合会が2010年12月に田中荘一第15代理事長の強いリーダーシップもとで一般社団法人になってから早いもので4年余りが経ちました.その間,田中理事長に続く,清水則一理事長,尾原祐三理事長のもとで,岩の力学連合会は法人としての整備が着々と進められました.田畑に例えて言うならば,田中理事長によって新たな山林が開かれて,清水理事長によって整地されて,尾原理事長の手で耕されて大事な作物が植えられた・・・それが今の連合会の状態だと言えます.この田畑を引き継ぐ私としては,先輩諸氏のご尽力に改めて感謝しつつ,植えられた作物がしっかりと育つように畝の間に残っている雑草を抜いたり水をやったりすること,そして場合によっては,微力ではありますが会員みなさまの要望,時代の要請に応えるべく少しばかり新しいモノを植えること,そんな仕事が出来れば上出来だろうと考える次第です.

 岩の力学連合会はその設立の目的である国際的な貢献と交流および国内研究活動の連絡と交流に務めてきました.国内においては,岩の力学国内シンポジウムをほぼ3年毎に開催して会員相互の交流に貢献すると共に,若手研究者の有志による学術集会の援助なども積極に行うなど,我が国における岩の力学分野の発展を支える活動を行ってきております.またISRMシンポジウム(1981),ISRM会議(1995),二つの岩の力学アジア会議(ARMS2004京都およびARMS2014札幌),第6回地殻応力国際会議(2013),日韓ジョイントシンポジウム(2013)など,多くの国際会議を開催し成功を収めています.さらに,ISRM総裁および複数の副総裁が日本から選任されて活躍された実績があります.現在も清水則一第16代理事長が去る5月にISRM副総裁(2015-2019期)に選任されました.その他,会員の中の有志がISRMにおける委員会活動に積極的に参加して活躍されています.

 とはいっても,昨今のこの分野の国際情勢を眺めてみれば,圧倒的なボリュームのインフラ整備を進めている国のエネルギッシュさばかりが目立ちます.そんな中,我が国としては作業の量ではなく,これまでの蓄積を踏まえた学術・技術の高い質でプレゼンスを示すべきであろうと考えます.そのために,まず清水ISRM副総裁をはじめ会員有志のISRMでの活動が円滑に行われるように支援したいと考えます.また,一方で近隣アジア諸国との交流を進める重要性も認識しているところです.

 また,国内では大きなプロジェクトが減って「岩の力学の分野は元気がない」と言われて久しいところです.しかし,そんなことはない.元気な若手研究者・技術者は確実に育っていると感じています.そんな若手研究者・技術者を支援する活動にも引き続き取り組みます.具体的なところでは,2017年に「岩の力学国内シンポジウム」を神戸で開催する予定です.その実行委員会を立ち上げて準備に取りかかります.

 さらに,「ビッグプロジェクトがない」と言われて来ましたが,今まさにILC(International Linear Collider)計画がスタートの日を待つばかりといった状態にあります.ILC施設は100万キロワット地下発電所級の大空洞と30kmの地下トンネルおよび地上研究施設群から構成されています.近いうちにこのビッグプロジェクトは実行に移されると思いますが,そうなった暁には,岩の力学連合会としてこの国家プロジェクトのお手伝いができればと考えています.連合会をプラットホームとすることで,会員の有志のみなさんが専門家として色んな場面でプロジェクトに貢献することができればと思う次第です.

 いくつか思うところを述べましたが,根底にありますことは連合会が会員みなさまの活躍を支え,そして,それを通して岩の力学の分野の発展に役に立つ会でありたいということです.そうした活動を支えてくださるのは一人一人の会員のみなさまです.いいアイデアがあればいつでも意見を頂戴できればと思います.二年間という限られた時間ではありますが,みなさまのお役に立てるよう努力する所存です.岩の力学連合会は昨期に英語名をJCRM: Japan Committee for Rock MechanicsからISRMに呼応したJSRM: Japan Society for Rock Mechanicsに変えました.今後とも岩の力学連合会は国際的な貢献と交流,国内の岩の力学分野の発展を支えるという使命を果たして行きたいと思います.

最後に,会員のみなさまのご支援とご鞭撻をお願い申し上げまして就任の挨拶とさせて頂きます.

 

東北大学 大学院工学研究科 土木工学専攻 京谷孝史