岩の力学連合会
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三井建設株式会社 技術研究所


1.三井建設技術研究所の概要

 三井建設技術研究所は、「技術研究室」を前身として、昭和50年に発足し、昭和55年以来、千葉県流山市を拠点として活動し、現在に至っています。

当研究所は現在、技術開発統括部と土木、建築、エンジニアリングの各研究開発部から構成され、要素研究、プロジェクト研究、社内外からの委託調査を行っていますが、「岩の力学」については、土木研究開発部のうち、「地盤研究室」と「土木環境研究室」が担当しています。研究は必要により関連の鉱山会社と連携する等により進めていますが、ここでは、これらの研究室が扱っている岩石・岩盤やトンネル・立坑に関する最近の研究内容を中心にご紹介します。

2.岩石の工学的評価

 岩盤実験室に設置した油圧サーボコントロール高剛性圧縮試験装置(MTS社製、写真-1)を用いて、岩石の強度・透水特性や地圧に関する調査・研究を行っています。とくに同機のもつ高精度の制御機構により、これまで不可能であった岩石の工学的性質の一面が評価できるようになりました。図-1は三軸圧縮試験において強度破壊点を過ぎて破壊後領域に至るまでの、いくつかの段階で透水試験(トランジェントパズル法と定水位法)を行ったときの差応力と透水係数の関係を示しています。

写真-1 油圧サーボコントロール高剛性圧縮試験装置

写真-1 油圧サーボコントロール高剛性圧縮試験装置

図-1 破壊後領域の透水係数

図-1 破壊後領域の透水係数

3.原位置岩盤の調査技術

 原位置岩盤の調査技術の開発と受託業務を行っています。写真-2は群発地震の震源発生域に、1,000mのボーリングを作孔して、原位置測定によって地殻応力や岩盤物性・透水特性を測定したときの状況です。調査の結果、震源域では一般的な地圧勾配に比べて、非常に大きな地圧が発生していることを確認しました。

写真-2 深部岩盤調査

写真-2 深部岩盤調査

 昨今、沿岸部の水理特性が注目されています。千葉県の沿岸において200mのボーリングを行い、各種の物理検層を行ないましたが、図-2はサンプリング試料の導電率から塩淡境界を求めたもので、この結果から塩水クサビ(図-3参照)の存在が明確に捕らえられました。

図-2 導電率の測定結果

図-2 導電率の測定結果

図-3 塩水クサビの模式図

図-3 塩水クサビの模式図

 トンネルや地下空洞の設計・施工に大きく影響する要因として、岩盤のゆるみがあります。当所においては図-4に示すように、ボーリング孔にパッカーを挿入し、パッカーで仕切られた区間の透水性から岩盤のゆるみを評価する、「真空透気試験」による評価法を確立しました。この方法によって、短時間で精度の高いゆるみ計測が可能になり、現在各方面に適応されています。

図-4 真空透気試験の概要

図-4 真空透気試験の概要

4.トンネル技術の開発

 ドリルジャンボによるトンネル掘削時の油圧データ等をリアルタイムで分析し、岩盤のゆるみ域や弱部を同定することにより、トンネル掘削における施工の安全性や信頼性を高める技術を開発しました。これにより切羽前方の地質予測やロックボルトの打設長、岩盤分類の定量的評価等が可能になります。図-6はロックボルト削孔時(図-5参照)の断面内の削孔速度分布を可視化したものですが、孔壁近く(赤や黄色の部分)弱層があることを示しています。

図-5 ロックボルトの位置

図-6 断面内の削孔速度分布

図-6 断面内の削孔速度分布

 ケーブルボルトのトンネル切羽への打設は掘削時の安定性だけでなく、掘削時のトンネル全体の変位を抑制する効果があることが注目されています。当所では施工性に優れた「FRPケーブルボルト」(写真-3参照)を開発し、併せて長尺施工に伴なう孔曲がりや定着材充填の課題を解決する工法として「GSA・フィブラケーブルシステム」を実用化しました。

写真-3 FRPケーブルボルト

写真-3 FRPケーブルボルト

5.大深度地下利用

 大深度の岩盤利用としてCAESが研究されています。当所では金属鉱山の地下1,000mの地点で、電力中央研究所や神岡鉱業と共同で、その実用化に向けた調査と原位置貯蔵試験を行いました。図-7はボーリング孔を利用した岩盤の透気・透水試験の結果で、原位置の岩盤の透水性・透気性が極めて低いことを示しています。

図-7 岩盤の透気・透水係数

図-7 岩盤の透気・透水係数

 大深度の地下利用においてはまず立坑によるアクセスが必要です。立坑ではショートステップ工法が標準工法ですが、当所ではNATMの研究開発を進めています。立坑NATMにおいては閉所空間におけるコンクリート吹付けと立坑の挙動計測が課題ですが、遠心力を利用した低粉じんの「ロータリーショット工法」と「デジタルカメラによる精密写真測量」を立坑に応用することにより、その実現をはかります。図-8は立坑の施工概念図を示しています。

図-8 新立坑掘削システム

図-8 新立坑掘削システム
 

(連絡先)

三井建設 技術研究所 土木研究開発部

中田雅夫 木山保 山地宏志

      TEL.04-7140-5201 FAX.04-7140-5216

 


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