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1.総合技術研究所の概要
関西電力株式会社総合技術研究所は、兵庫県尼崎市に位置し、1951年(昭和26年)5月の電力再編成時に技術研究所として発足しました。その後、1967年(昭和42年)にいたり、電力供給設備の多様化ならびに新技術の導入強化の必要から研究範囲の拡大を図ることとし、従来から取り扱ってきた送電、変電、配電関係のほかに、火力関係業務を実施していた火力試験所を統合するとともに、土木建築部門の構築研究室を新たに設置し、名称を総合技術研究所に改めました。
写真−1 総合技術研究所
2.構築研究所の概要
構築研究室は、土木建築部門の研究に携わり、発電所や変電所の建設、保守関連の研究課題に取り組んでいます。研究グループは、水理(河川・海岸)、地盤、材料、計測情報処理、建築グループから構成され、それぞれ表−1に示す研究業務を行っています。メンバーは、土木23名、建築5名の合計28名です。
表−1 構築研究室業務分担
3.岩盤に関する研究
電力設備における岩盤構造物としては、地下空洞、ダム、導水路トンネル、のり面などを対象として、研究を進めてきました。
最近の主な研究成果は、軟岩の不かく乱試料採取装置の開発、地質構造の定量的評価法の開発、吸引式透気試験装置によるゆるみ領域評価法の開発、同孔径円錐孔底ひずみゲージ法の開発などが挙げられます。
1)軟岩の不かく乱試料採取装置の開発
軟岩の不かく乱試料採取装置は、ビット部のウォーターウェイ形状の工夫により、従来困難であった 軟岩の不かく乱試料を簡便に採取するものです。当装置は、小型、軽量で山地などでも運搬、組立が容易であり、多くの現場で採取実績を挙げています。
また、ケーシングを透明な材料にすることで、ケーシングの外から試料の状態を観察することが可能となりました。
写真−2 明り垂直方向の採取状況
写真−3 坑内水平方向の採取状況
2)地質構造の定量的評価法の開発
地質構造の定量的評価法は、弾性波探査と比抵抗探査の結果を組み合わせた変換解析により岩級区分、湧水箇所を定量的に評価するものです。これにより、従来、定性的にしか評価できなかった物理探査の結果を直接設計に活用することが可能となりました。現在電力以外にもダムやトンネルなどの地質調査で実績を挙げています。
図−1 体積含水率変換結果と湧水実績
3)吸引式透気試験装置によるゆるみ領域評価法の開発
吸引式透気試験装置によるゆるみ領域評価法は、ゆるみを簡便に評価できる手法です。ボーリング孔にダブルパッカーで測定区間(25cm)を設定し、測定区間の空気を真空ポンプで吸引すると、岩盤の亀裂特性に応じて吸引圧力、透気量が定常となります。この時の吸引圧力、透気量より岩盤のゆるみを評価するもので、1測定区間3分程度で測定でき、結果をリアルタイムで知ることができます。
写真−4 吸引式透気試験装置
写真−5 吸引式透気試験の試験状況
4)同孔径円錐孔底ひずみゲージ法の開発
初期地圧の測定法として、以前から円錐孔底ひずみゲージ法の開発に携わってきましたが、オーバーコアの径をひずみゲージ取り付け用のボーリング孔径と同径にすることで、計測作業の簡素化を行いました。更に、ボーリング孔先端部に探査細孔を取り付け前方の地質を予め確認できるようにすることで、オーバーコアリングの際にコアが破壊するトラブルを防ぐことが可能となりました。
図−2 同孔径円錐坑底ひずみゲージ法
4.今後の研究方針
これまで、岩盤の研究においては新設関連のテーマが中心でしたが、近年の保守、環境関連のニーズの高まりに対応して、今後、これら分野の技術力を強化していきたいと考えています。
また、当研究室では、これまで地下空洞やダムなどの岩盤構造物の建設、保守業務に多数携わってきた。この間に膨大な計測データが蓄積されています。
今後は、これらのデータを有効活用し技術の向上を図っていきたいと考えています。
(連絡先)関西電力(株)主任研究員 吉田次男
TEL 06-6491-0221 K427157@kepco.co.jp |